千葉県の香取市にある佐原エリアは、江戸時代から小野川の水運で栄えた歴史のある街です。今でも当時の街並みが残り、数多くの歴史的建造物が残ります。そのため地域一帯は重要伝統的建造物群保存地区に指定されいることに加え、日本遺産にも選定されています。
「北総の小江戸」や「水郷の町」として知られる風情のある街並みを、日帰りバスツアーで堪能してみてはいかがでしょうか。ここではそんな佐原の見どころを紹介します。
まずは忠敬橋からスタート!
ツアーバスを降りたら、まずは小野川に架かる忠敬橋へ行きましょう。というのも、佐原の古い街並みはこの橋を中心にして、十字に広がっているからです。忠敬橋からスタートすれば、効率よく佐原の街並みを楽しめます。
ちなみに橋の名称は、佐原ゆかりの偉人である伊能忠敬に由来します。特に小野川沿いに約700メートル、そして川と交差する香取街道(千葉県道55号佐原山田線)沿いに続く、約1キロの街並みが見どころ。
米問屋や醸造業の蔵あるいは川に浮かぶ屋形船など、歴史を感じさせる街並みが続き、江戸時代にタイムスリップしたような感覚になるかもしれません。
佐原ゆかりの偉人の旧宅へ!
街をしばらく歩いてみたら、次は具体的なスポットを訪れてみましょう。まずおすすめしたいのが、国の史跡である伊能忠敬旧宅です。伊能忠敬といえば、江戸時代に全国を測量して日本地図を完成させた、歴史的な偉人としてよく知られます。
この伊能忠敬が人生の大半を過ごしたのが、ここ佐原の地。小野川沿いに佇む旧宅では、土蔵造りの店舗をはじめ書院や炊事場のある母屋など、当時の暮らしの様子をうかがい知ることができます。また川を挟んで旧宅の対岸にある伊能忠敬記念館には、地図や絵図類の他に文書や記録類、あるいは書状類や典籍類といった、国宝にも指定されている数々の貴重な品々が展示されています。
日帰りバスツアーのなかでも、伊能忠敬の人生や偉業を学べる、見応え十分なスポットと言えます。
赤レンガ造りのレトロな洋館といえばここ!
佐原駅から15分ほど歩くと見えてくるのが三菱館です。その名称の通り、元々は三菱銀行佐原支店として使用されていた建物。1914年(大正3年)に建造された長い歴史を誇り、千葉県の有形文化財にも指定されています。
外観は2階建ての赤レンガ造りで、シンボリックなドーム屋根を持つルネサンス様式のお洒落な建物です。
建物内へ入ると吹き抜けになっており、巻上げ式のよろい戸や鉄製サッシ、そして2階部分の回廊がレトロな雰囲気を与えます。今でも観光案内所として利用されています。
風格のある土蔵造りの呉服店!
忠敬橋から香取街道を西へ約50メートル進むと、堂々とした土蔵造りのお店が現れます。ここは1804年(文化元年)に創業した老舗、福新呉服店です。店舗の奥には井戸や中庭もあり、古くから佐原で見られるオーソドックスな商家の造り。
千葉県の有形文化財であるこのお店は一般公開されており、生活道具や衣装等の展示を通じて、当時の暮らしを自由に知ることができます。またお店では藍染を中心に、小物類も販売しています。
風情のある建物はもちろん、美味しいお蕎麦も堪能できるお店!
福新呉服店のすぐ隣にある小堀屋本店も見逃せません。ここは1782年(天明2年)創業という蕎麦の老舗名店。木造2階建てのコンパクトな建物ながら、重厚な切妻平入瓦の屋根が風格を感じさせます。現在の建物は明治時代になってから建築されたもの。
お店のガラス戸は明治35年から使用されており、それだけでも貴重な文化財と言えます。店舗と土蔵が一体となった明治時代の建築様式がしっかりと残り、千葉県の有形文化財に指定されています。歴史ある建物の雰囲気に包まれながら、美味しいお蕎麦を楽しむのもよいでしょう。
かつては佐原で有数の醤油造りの老舗!
利根川や小野川の豊かな水資源に恵まれた佐原は、江戸時代から醸造業の盛んな街としても有名でした。
そんな地域で醤油造りの老舗として知られてきたのが、創業1800年(寛政12年)の正上醤油店です。忠敬橋から小野川沿いを150メートルほど下っていくと、よろい戸のある木造2階建てのお店が見えてきます。
店舗の奥には千本格子の障子戸も残り、佐原でも数少ない江戸時代の建築物の1つとして、千葉県の有形文化財に指定されています。なお現在では、佃煮を製造販売するお店として存続しています。
佐原で歴史的な防火構造の建築物を見たいならここ!
佐原は明治25年の大火よって、甚大な被害を受けた土地として知られます。それを教訓にして当時建てられたのが、中村屋乾物店です。忠敬橋から香取街道沿いを東へ約50メートル進むと、黒々とした2階建て土蔵造りの建物が現れます。
1階は畳敷きと土間のある店舗、2階部分を倉庫にし、正面の観音開きの扉には木彫の看板を掲げます。当時のあらゆる防火技術を駆使しており、壁の厚さだけで約45センチにも及びます。日帰りバスツアーで佐原を訪れたら、この歴史的な防火構造の建築物を通じて、当時の様子を知るのもよいでしょう。
水郷の町にふさわしいスポット!
水郷の町として知られる佐原には、自然豊かなスポットも沢山あります。例えば水郷佐原あやめパークもその1つ。佐原駅から利根川を渡り北東へ約6キロ、水郷筑波国定公園内に位置します。約8ヘクタールもの広大なパーク内では、約400品種150万本のハナショウブや、約300品種のハスをはじめ、スイレンやアヤメ、あるいは桜や梅さらに藤など数多くの植物が育てられています。
シーズンになると美しく咲き乱れる草花を鑑賞するために、大勢の観光客で賑わう人気のスポットです。また園内には大型滑り台のある芝生広場や、広さ約600平方メートルものドッグラン、さらに体験工房や売店など、多彩な施設が充実します。
ファミリーで日帰りバスツアーに参加しても、十分に楽しめるスポットと言えるでしょう。
佐原ゆかりの偉人の銅像が建つ公園!
佐原ゆかりの偉人といえば、江戸時代に全国地図を完成させた伊能忠敬でしょう。その偉人の銅像がそびえ立っているのが、佐原公園です。ここは佐原駅から南西へ約500メートルの高台に位置し、展望台からは市街地だけでなく水郷一帯まで眺望できる、絶好のスポットとして知られます。
また公園の隣には野球場やテニスコートなど、様々なスポーツ施設が充実。日頃から市民の憩いの場としても親しまれている公園です。もちろん伊能忠敬の銅像も、この公園では大きな見どころの1つ。大正8年に建立された歴史ある銅像と一緒に、街を眺めてみるのもよいかもしれません。
見どころ満載の佐原なら、どんなタイプの観光にも最適!
ここまで紹介してきたように、香取市の佐原エリアには歴史的な建造物や自然に富んだ公園など、魅力あふれるスポットが沢山あります。一人旅から子ども連れのファミリーまで、どんなタイプの観光にも最適なエリアと言えます。
ただし見どころが幅広く充実している分、なるべく自由行動できる時間が多い日帰りバスツアーを選ぶのがベター。バスを降りてから自分の好みのスポットへ積極的に出かけてみましょう。